もしかしたら、周囲にもいるかもしれない。強迫性障害ってなんだ?

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「強迫性障害」と聞いて、どんな印象を受けるだろうか。間違っても「脅迫性障害」ではない。

簡単に言えば、些細なことで継続して不安に襲われる

正直言い方が良くないですが、もっとわかりやすい名前にした方が認知度が上がるんじゃないかと思うんですが、要は些細なことで不安に襲われる症状が継続して起きるような状態です。

鍵を閉めた後の確認、何回してますか。

強迫性障害の対象には色々ありますが、わかりやすいのは鍵閉めとかでしょうか。

普通家などの鍵を閉めて、少なくとも1回はドアを引いて鍵が閉まってるかなどと、確認するんじゃないかと思います。

しかし、強迫性障害の患者の中には家の鍵を閉めたかどうかを何回も、場合によっては数十回も確認しないと不安で仕方ないという症状が発生したりします。

また、ここで「患者の中には」と書きましたが、これは同じ強迫性障害であっても、まったく鍵閉めは気にならないという人も居るからです。

鍵が閉まっていることはわかっているのに不安になる

なぜ鍵が閉まっているかどうか確認が止められないかというので、色々背景にあるかと思います(家に泥棒が入られたらどうしよう等)

しかし、じゃあ本人は鍵が閉まっていることを理解できていないのかといえばそうではなく、本人は鍵はすでに閉まっていることを百も承知です。

頭では既にドアの鍵を閉めていることは分かっています。でも、不安で仕方ないのです。

不安の対象はひとそれぞれ。

強迫性障害の不安の対象はひとそれぞれで、厚労省のページには以下のことが記載されています。

これはあくまで大枠にしただけで、人により対象も異なるため、どれに当てはまるか曖昧な部分もあるかもしれません。

◆不潔恐怖と洗浄

汚れや細菌汚染の恐怖から過剰に手洗い、入浴、洗濯をくりかえすドアノブや手すりなど不潔だと感じるものを恐れて、さわれない

強迫性障害|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省

これの重要なところは、本人が「不潔」と感じるかどうかです。実際の汚れ度合いはどうでもよく、本人が不潔だと思ったものを触れたりした場合に、洗浄などを繰り返すという内容です。

また、不潔なものに触れない場合もあれば、触れるけども触った後には石鹸で手を洗わないと他の物が触れられないなどの場合もあります。

◆加害恐怖

誰かに危害を加えたかもしれないという不安がこころを離れず、新聞やテレビに事件・事故として出ていないか確認したり、警察や周囲の人に確認する。

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私は誰か、もしくは特定に人に対して、暴力を振るったのではないか、危害を与えようとしたのではないかということが頭から離れない状態です。

また、車などを運転していて、もしかしてひき逃げをしてしまったのではないかなどと不安になったりする人も居ます。

また、同じ枠に入れていいのかわかりませんが、誰かに対して気に障ることを言ってしまったのではないか、相手を精神的に傷つけてしまったのではないかと不安になるという場合もあります。

◆確認行為

戸締まり、ガス栓、電気器具のスイッチを過剰に確認する(何度も確認する、じっと見張る、指差し確認する、手でさわって確認するなど)。

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これはさっき話した鍵閉めなどがそうです。鍵を閉めたにも関わらず、本当にしまっているか気になって何度も確認してしまうなどの症状です。

また、一度納得できても、あとからまた不安が発生してまた戻る・・・なんて場合もあります。

◆儀式行為

自分の決めた手順でものごとを行なわないと、恐ろしいことが起きるという不安から、どんなときも同じ方法で仕事や家事をしなくてはならない。

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例えば、食器洗いをするときに、茶わん→平皿→箸→お椀の順番でやると決めたら、何が何でもその順番にやらないと不安に襲われます。

もし、洗う最中に家族などが別の食器を渡したりした場合、今まで洗ったものも全部また洗いなおしてでも、順番通りにやることを優先してしまったりします。

◆数字へのこだわり

不吉な数字・幸運な数字に、縁起をかつぐというレベルを超えてこだわる。

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日本だと、4は死、9は苦などで、ホテルやアパートなどで該当の番号が無いということはあると思います。逆に7や8は縁起がいいなどということは良くあると思います。

縁起がいい、レベルなら良いのですが、これが何が何でも4や9になってはいけないという不安に襲われる場合があります。4つに分けるのではなく、5つに分けて「4」という数字にならないようになどという症状が起きたりします。

物の配置、対称性などへのこだわり

物の配置に一定のこだわりがあり、必ずそうなっていないと不安になる。

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お店などでは、商品の配置などが揃っていることが多いですが、それが家などでもそうでないと不安になったりし、例えばペットボトルを全部表のラベルが前に見えるように1つでも揃っていないと不安になったりします。

強迫性障害になる原因は何なのか

学術的には、はっきりとした原因はわかっていないようです。逆に言えば、さまざまな要因によって発生することがあるということです。

この記事を書こうと思ったのが、ふとTwitterでとんでもマナーが広まると、強迫性障害の患者が増えてしまうというツイートを見たから。

「何かをしなければいけない」という強い思いがきっかけで

強迫性障害は真面目な人がなりやすいと言われています。例えば先のマナーの件でも、そんなのバカじゃないのって思える人はまだいいと思います。

しかし、そのマナーを守らなければいけないと強く思い、さらに他のプレッシャーやストレスを抱えていたりすると、いつの間にか何が何でもそうしなくてはいけないと思ってしまい、それがとんでもマナーだとしても止めることが出来なくなる場合があります。

ある意味これが儀式行為で、自分がそうだと思った手順でやらないと不安になってしまうということです。あとからこれは変だと思っても、やめることができなくなってしまうのです。

ある意味「依存症」と似た症状かもしれない

「ダメだと思っている」のに「やめられない」

これってある意味依存症と同じなんじゃないかなって思います。アルコールにしろタバコにしろ、ダメだと思っても、禁断症状が発生して止められないというのはよく聞くことだと思います。

同じく強迫性障害も、やってはダメだと思っても、不安が収まらずに行為をやめられないというのが症状です。

大きく考えると、もしかしたら強迫性障害も依存症の一部なのかもしれません。

治療方法も似ている

例えばアルコール依存症の治療は、禁断症状が出ても絶対にアルコールを飲まずに、強くアルコールを断つのだという意思の元で、飲みたいという欲求を耐えていくことにより、段々と飲みたいという欲が薄れていって、最終的に禁酒成功となると思います。

その途中で少しでもアルコールを飲んでしまうと、また結局元に戻ってしまします。

強迫性障害の場合も不安に襲われても、絶対に強迫行為を行わずに、不安に耐えるというのが大きな治療方法の一つです。(認知行動療法で調べてみてください)

そして、だんだんと頭に強迫行為を行わなくても恐れていることは起きない、大丈夫なんだと理解させることにより、段々と不安に襲われることが無くなっていき、最終的には全く不安に襲われなくなるという治療方法です。

依存症にしろ、強迫性障害にしろ、禁断症状か不安かの違いで、根本的な治療方法は似ていると思います。

治療には周囲の協力が不可欠

強迫性障害の治療は先に話した認知行動療法が一番効果的とのことですが、やはり治療には周囲の協力が不可欠だと思います。

例えば何かを何度も確認しないといけないなどの場合は、当人が確認したら、周囲の人がそれ以上の確認を出来ないようにしてしまうなどで、強迫行為をしないように仕向けたりするなどの協力が必要です。

例えばドアの鍵閉めなら、当人が一度確認したのを見たら、半分強引にでもその場から移動させて、これ以上鍵の確認が出来ないようにします。

そしてまた戻ってきたときにちゃんと鍵が閉まっていることを当人に認識させ、何度も確認しなくても大丈夫だというのを頭に覚えさせていきます。

そうすることによって、徐々に確認しないとという不安に襲われることが少なくなっていくと思います。

患者は多いけども知られていない現状

強迫性障害の克服には、身近の協力が不可欠という話をしましたが、この強迫性障害は100人に1人程度とかなりの確率で患者がいるにもかかわらず、あんまり認知度がありません。

認知が進まないと中々打ち明けることが難しくなってしまい、克服が難しくなっているのも現状だと思います。

もっと認知が進んで、気軽に家族などに話せるようになれば、もっと克服できる人が増えるんじゃないかな・・・と思います。


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